不動産を貸しているときの税金は?

不動産を貸している時の税金 不動産のおはなし

持ち家として空き家を所有している場合、個人でも不動産を貸すことで利益をあげた場合は「所得」となり課税の対象となります。不動産賃貸業を行ったとき、具体的にどのような税金がかかるのでしょうか?今回は不動産を貸した時の基本的な税金についてまとめたいと思います。

どんな税金がかかるのか?

不動産を賃貸すると、不動産所得として国税である「所得税」と、地方税である「住民税」がかかります。また、一定規模以上の不動産を賃貸して所得が一定額以上となると「事業税」がかかってきます。

所得税について

所得税は10種類(給与所得・不動産所得・事業所得・配当所得・退職所得・利子所得・譲渡所得・山林所得)の所得に分類されます。

不動産の貸付による所得は不動産所得として分類され、具体的には地代・家賃・権利金・礼金・返還不要の敷金や保証金・更新料・名義書替料などが対象となります。

POINT

敷金や保証金でも、契約時に一部または全部を返還しないように定めているときは、その返還不要の金額は、その契約年の収入となります。

不動産所得の計算

総収入金額-必要経費=不動産所得の金額

総収入金額は、地代・家賃などの収入が対象となり、必要経費には固定資産税・保険料・建物等の減価償却費・借入金の利子・修繕費などがあります。

事業的な規模(アパートなどは10室以上、一戸建てのものは5棟以上の貸付など)で不動産の貸付を行
っている場合、配偶者や生計を共にしている親族がその貸付業務に専従しているときは、白色申告者にあっては、事業専従者控除額(配偶者の場合86万円、他の親族の場合50万円)、青色申告者にあっては、青色事業専従者給与(届出が必要)が必要経費として認められます。

なお、青色申告をしている人(青色申告者)には青色申告特別控除があります。

総収入金額-必要経費-青色申告特別控除=不動産所得の金額

青色申告特別控除は、正規の簿記の原則により記帳している場合は55万円または65万円、その他の場合は10万円が認められています。

住民税について

住民税は自分で申告をする必要はありません。所得税の確定申告書を税務署に提出すると、自動的に市町村に住民税の申告書を提出したことになります。

個人の不動産所得に係る損益通算の特例

土地や建物などを貸付けることによって得た所得は不動産所得とされ、その不動産所得が赤字となった場合には給与所得等と損益通算ができます。

ただし、不動産所得の金額の計算上 生じた損失の金額(例えば、給与所得等がマンション等を借入金により購入してこれを貸付けることによって発生した赤字)のうち、土地を取得するために要した借入金の利子に相当する部分の金額については、損益通算の対象としないこととされています。

なお、建物とともにその敷地の用に供されている土地を取得した場合、借入金が建物部分と敷地部分とに区分することが困難であるときは、その借入金は建物部分の購入資金に充てたものとし、その残額をもってその敷地を取得するために要したものとして借入金の利子を計算することとされています。

所得税および住民税の申告と納税

所得税は毎年3月15日までに確定申告書を提出し、同日までに納付します。また、延納の手続きをとって同日までに2分の1以上の金額を納付して、残額を5月31日までに納付することもできますが、延納期間中の利子税がかかります。

また、所得税の申告には住民税に関する記載もするようになっているので、所得税の申告をした人は住民税の申告をする必要はありません。

住民税の納税の方法は特別徴収(給料から源泉徴収される方法)と普通徴収(納付書で自分で納付する方法)の2つの方法があります。普通徴収は、年4回(6月、8月、10月、翌年1月)に分けて納税することが可能です。

(注)住民税は市区町村税と都道府県税なので各市区町村等によって納期等が異なる場合があります。

事業税について

事業税は都道府県に事務所または事業所を設けて事業を行う法人または個人に課税されるものです。当記事では、個人の賃貸業に係る事業税について説明していきます。

個人の事業税の課税対象は?

個人の事業税は、第一種事業・第二種事業・第三種事業として限定列挙されている事業について課税の対象とされます。不動産関係では、第一種事業に不動産貸付業・駐車場業・不動産売買業などが列挙業種とされています。不動産貸付業と駐車場業については、課税対象とされる基準が設けており、次のような貸付が課税の対象となります。

個人事業税の計算は?

個人事業税は前年の総収入金額から必要経費を差し引き、さらに事業主控除の290万円を引いて計算します。つまり年間290万円以上の事業所得のある方が基本的に個人事業税の対象となります。なお、所得税の青色申告特別控除は事業税にはありません。

(総収入金額-必要経費-事業主控除額 290万円)×税率=税額

(注)総収入金額および必要経費は所得税の不動産所得の計算に準拠して計算します。税率は標準が100分の5(制限税率は100分の5.5)となります。

個人事業税の申告と納税は?

所得税の申告書に事業税に関する記載をするようになっていますので、所得税の申告をした人は、事業税の申告は必要ありません。納付は通常8月と11月の年2回で、都道府県税事務所から送付される納税通知書によって納付します。

(注)事業税は都道府県税ですので、各都道府県の納期等が異なる場合があります。

【参考】不動産にかかる税金まとめ

不動産には様々な税金がかかってきますが、ステージごとに課税される税金が異なります。全体像を把握するため、購入・保有・売却・相続の4つのステージに分けて不動産にかかる税金をまとめました。
【まとめ】不動産にかかる税金一覧 >>


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