自分が頑張って買ったお気に入りのアイテム、できるだけ長く使いたいですよね。そんな方のために、最低限知って置くべきメンテナンスの知識を紹介していくシリーズとなっています。
今回の記事では「革靴」のケアに必要不可欠な道具と手順(今回はカーフレザー)革の種類によって異なる点などを紹介していきたいと思います。
【革靴編】お気に入りアイテムのお手入れ方法
これだけは持っておきたいマストアイテム!
まず初めに「持っておきたい道具」を大まかに紹介します。後に出てくる手順でも再度紹介します。
・布
・クリーナー
・ワックス
・馬毛ブラシ、豚毛ブラシ
・コバインキ
・ソール用オイル
これらを揃えることができれば、大抵の靴の全てのパーツの手入れをすることが可能です。
手入れの手順/道具やポイントについて
【1】下準備
革製品なのでカビが生えるという危険性があります。そのため、アルコール(無ければお酢でも可)を使って消毒、除菌をしていきます。この時、ソール用のオイルがあれば塗布します。ソールに油分を与えることで柔らかくなり、返りが良くなります。月に1度の頻度で十分です。
【2】汚れを落とす
除菌作業が終わったら、次に靴に付着した汚れを落としていきます。ここで使うのは、馬毛のブラシ、クリーナー、布です。
<手順1>
まずは柔らかいとされている馬毛のブラシを使って軽く、なでるようにブラッシングをします。ここでホコリなどを払うようなイメージです。
<手順2>
次にクリーナーと綿100%の布を使って古いワックスや汚れを落としていきます。先程も言ったように、革製品はカビが生える危険性があります。古いワックスをしっかり落として、革の通気性を確保しましょう。
【3】クリームで保湿をする
汚れを落として靴がすっぴん状態になったところで、初めてクリームを塗っていきます。コバインキまで用意できている方はクリームを塗る前にコバインキを丁寧に塗りましょう。理由としては、クリームより乾くのが遅いためです。そこまで終わったら
<手順1>
ブラシに乳化性のクリームをとり、靴全体に塗り込んでいきます。少量で十分です。
<手順2>
塗り込みが終わったら、時間を空けず、硬くコシのある豚毛のブラシでクリームを馴染ませていきます。
<手順3>
最後に乾拭きをして余分なクリームを落としていきます。クリームの量が少量でいいと書いたのはこのためです。拭き取りはコットン製の布が好ましいとされています。
【4】ワックスで磨く
ここではコットン100%の布(先程使ったものとは別のもの)とワックスを使用します
<手順1>
クロスを人差し指と中指に巻き付け、その上に軽く湿らす程度の水を垂らします。
<手順2>
クロスが湿ったらその上にワックスを少量とり、全体に満遍なく塗り込みます。ここでは円を描くように磨きましょう。ワックスの油分を与えることで靴の防水性を高めます。
ここまでで一通り完成となります!付いているものを落として磨いた後に保湿といった流れなのでイメージとしては洗顔とスキンケアと同じような工程ですよね。通常であればこれで完成となります。
さらに磨く!
ここまで紹介した4つの工程で十分な手入れと言えますが、ここからさらに光らせたい場合はもう一段階磨く必要があります。用意するものは山羊毛のブラシ、コットン製の布(ワックスを塗った時のものと同じで良い)です。
<手順1>
ワックスを一通り塗り終えた靴に工程【4】よりもやや多めのワックスを布に取りサイドウォールにもしっかり塗り、トウとヒールの輝きに繋がりを持たせます。
<手順2>
トゥの回りにかけて指でワックスを馴染ませます。体温で伝えることで布を使うよりも早く、キレイに浸透させます。
<手順3>
ウェルト回りやヒールにもしっかりとワックスを塗り込みます。
<手順4>
最後に山羊毛ブラシで全体をブラッシングして鏡面磨き(ハイシャイン)の完成となります。
ここまでで手順の説明は以上となります。今回は黒カーフを想定した磨き方を紹介しましたが、色や革の種類によって磨き方やコツなどが大きく変わってきます。
素材タイプ別のコツやワンポイント
ここからは靴のタイプ別にコツやワンポイントなどを紹介していきます!
・スエード
スエードとは牛・羊などの皮の裏側の繊維の太い部分を、サンドペーパーなどで起毛した革のことを指します。比較的にケアが簡単と言われている素材ではありますが、気をつけるべきポイントは沢山あります。ホコリや油分を吸いやすい性質にあるため、こまめに専用のブラシなどでブラッシングすること、それでも落ちない場合は紙ヤスリを使う事をおすすめします。もしコバインキを使う場合は、スエードに付くと落ちないため、注意して塗りましょう。革とのコンビ靴である場合は、スエードから手入れをしましょう。
・エナメル
ローファーなどで使われることが多いエナメル。独特の光沢を出すために革の上に塗られている樹脂塗装が塗られています。そのため基本的には養分を必要としません。そのためクロス(布)に水分をたっぷり含ませて磨くことで、表面の曇りを取り除くことができます。1つ注意する点としては、白いステッチなどがある場合、クリームやワックスの色が着くと取れない場合があるため、無色のクリームを小指などを使って塗り込みましょう。
・ウロコ系の素材
クロコダイルやリザード(トカゲ)の皮を使ったいわゆるウロコ系の靴の場合は長く光り続け、水分に強いという特徴があります。しかし細かなふとふの間からヒビ割れを起こすことが多いという懸念点もあります。カーフと同じような道具を使いますが、ワックス・クリームは多めに、縦横斜め全ての方向に強めにブラッシングをしてしっかりと油分をいきわたらせましょう。
・淡色系の素材
ベージュやライトブラウンなどの薄い色の革靴の場合はブラシでクリームを塗ると高確率でムラになりやすいです。クロスに少量のワックスやクリームを取り、少しずつ塗り込んでいきましょう。ブラシを使う必要はありません。
共通ポイント
最後にどの素材とどんな形の革靴の手入れにも言えるポイントを紹介します。
豚毛ブラシはワックスの色で使い分ける
クリームの塗布後に使う豚毛ブラシは革の色によって変える事をおすすめします。ほかの馬毛ブラシであったり、山羊毛ブラシはホコリを落としたり、最後の仕上げとして使う場合がほとんどなので、わざわざ変える必要はありません。無色のクリームを使っていたとしても、豚毛ブラシだけは最低3つ(ブラック、暗めのブラウン、ライトブラウン用)として持っていると安心です。
カビが生えてしまったら
カビは1度飛沫してしまうと完璧に取り除くことは不可能に近いと言われています。発見したらすぐにオキシドール(無い場合は市販のカビ取り)を使って拭き取りと消毒をしましょう。まだカビが生えていない場合は、先程の手順で紹介したような消毒、除菌作業を忘れず行いましょう。
シミができてしまった場合は
雨シミや酷い汚れ、汗などによる塩吹きが目立ってきてしまった場合は、迷わずレザー用のシャンプーを使って洗いましょう。汚れやシミを落とし2週間前後乾燥させることで、大体の汚れが目立たなくなります。注意点としては、乾燥させたあとの靴は油分が抜けきっている状態となるため、しっかりと保湿してあげましょう。
サイズに関しての修理
靴のサイズが小さい、大きいでアプローチが変わっていくのですが、いずれもプロに任せるのが無難と言えます。サイズが小さい場合には柔軟剤を塗りストレッチャーというもので伸ばすのですが、この作業は市販のストレッチャーではトラブルが多く、危険です。できるだけプロに任せましょう。
サイズが大きい場合は必要な場所に必要な数のソックシートを用いて調整を行います。この作業も自分でやることは可能ですが、プロに任せるとフィッティングから面倒見て頂けることが多いので、その方が安全と言えます。
さいごに
いかがでしたでしょうか?今回は革靴の手入れにおいて最低限知っておいた方がいい知識を紹介しました。革靴は奥深い世界で、パーツも多いことから、専門用語が非常に多いです。次回はその専門用語について少し紹介できたらなと思います。