譲渡所得税ってなに?
自分が所有している土地・建物を売却して得た利益のことを譲渡所得といい、譲渡所得税とはこの所得に対して課税される住民税/復興特別所得税/所得税の総称です。
土地や建物の譲渡所得税は、他の所得と区分して計算し「短期譲渡所得」か「長期譲渡所得」かによって適用する税率が異なります。所有期間が5年以下の場合は短期、5年超が長期ということになります。
土地や建物を売却した時の譲渡所得税は「分離所得」といって、給与所得などの他の所得と区分して計算します。そのためサラリーマンでも譲渡所得税については個人で確定申告をおこなう必要があります。
課税される譲渡所得金額の計算
まずはじめに、課税される「譲渡所得金額」を計算しないといけません。
この「譲渡所得金額」は単に不動産を売った金額ではなく、その不動産を買った時の費用と売ったときにかかった費用を差し引いたものになります。
譲渡所得=売却価格-(取得費用+譲渡費用)
■取得費用に含まれる費用例
・購入代金や建築代金
・仲介手数料
・各種税金
・測量費、整地費、解体費 等
※建物のように期間の経過とともに価値が減少する資産は、減価償却費用相当額を差し引いて取得費を計算します。【減価償却費の計算式】取得価額×0.9×償却率×経過年数
■譲渡費用に含まれる費用例
・仲介手数料
・各種税金
・建物解体費用 等
譲渡所得税の計算式
所得税と住民税は課税譲渡所得金額に税率を掛けて計算します。税率は以下の表のように「長期譲渡所得」「短期譲渡所得」によって異なります。転売目的による短期の売買を抑えるために2つの区分が設けられています。
譲渡所得 | 所得税 | 復興特別所得税 | 住民税 | 合計 |
短期(5年以下) | 30% | 所得税額×2.1% | 9% | 39.63% |
長期(5年超) | 15% | 所得税額×2.1% | 5% | 20.315% |
※売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかどうかがポイントになります。
税金控除の主な特例等について
【1】3,000万円の特別控除(譲渡益が出た場合)
短期譲渡所得、長期譲渡所得のどちらに該当する場合でも、課税譲渡所得から最高3,000万円が控除される特例です。
(譲渡所得-3,000万円)×税率=税額
※不動産売却で出た譲渡所得が3,000万円以下であれば税金は全額控除となります。ただし、特例を受けるには条件を満たしている方に限られるため注意が必要です。
【2】所有期間10年超の軽減税率
売却する際にマイホームの所有期間が10年を超えている場合は、軽減税率が適用されます。また、3,000万円の特別控除との併用もできます。
譲渡所得 | 所得税 | 復興特別所得税 | 住民税 | 合計 |
6,000万円以下の部分 | 10% | 0.21% | 4% | 14.21% |
6,000万円超の部分 | 15% | 0.315% | 5% | 20.315% |
※3,000万円特別控除と同様の条件があります。また、売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えている必要があるので注意が必要です。
【3】買換えの特例
マイホームを売った年の前年から翌年までの3年の間にマイホームの買換えをした場合に、その譲渡益の課税を繰り延べされる(非課税ではない)という特例になります。ただし「3,000万円の特別控除」「所有10年超の軽減税率」とは併用できず選択適用となります。また、その他にも適用条件がありますので注意が必要です。
【4】損益通算・繰越控除の特例(譲渡損失)
マイホームを売却した際に損失が出た場合、損失分を他の所得と損益通算を図れます。例えば、200万円の損失で給与所得が500万円の場合、200万円を差し引いて300万円で所得が確定。200万円を差し引いた分が還付対象となります。また、その年で通算しきれなかった譲渡損失の金額がある場合には、翌年から3年間の繰越控除ができます。
その他にも不動産を売却したときの特別控除や特例には様々なものがあります。特別控除・特例を受けるには譲渡した年の翌年2月16日から3月15日の間に必要書類を準備して確定申告をおこないましょう。
【参考】不動産にかかる税金まとめ
不動産には様々な税金がかかってきますが、ステージごとに課税される税金が異なります。全体像を把握するため、購入・保有・売却・相続の4つのステージに分けて不動産にかかる税金をまとめました。
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