住宅取得等資金贈与の特例比較

住宅取得等資金贈与の特例比較 不動産のおはなし

住宅取得等資金の贈与を受けた場合に、「非課税特例」を選択するか「相続時精算課税」を選択するか、あるいは両方をあわせて適用を受けるか検討しなければなりません。そのために両特例を比較してみましょう。

住宅取得等資金贈与
非課税特例
相続時精算課税
住宅取得資金の特例
贈与者受贈者の直系尊属
※父母・祖父母など
※年齢に制限はなし

受贈者の父母・祖父母
※60歳未満でも適用可
※相続時精算課税
…60歳以上の制限
受贈者20歳以上で受贈者の
直系卑属(子や孫)
※受贈年1/1時の年齢
※受贈年の所得金額
…合計2,000万円以下

20歳以上で受贈者の
直系卑属の法定相続人
または20歳以上の孫

※R4.4.1~18歳以上
※受贈年1/1時の年齢
※所得制限なし
贈与を
受ける財産
住宅取得等の資金同左
適用対象
住宅家屋等
床面積
50㎡以上240㎡以下
等の一定要件あり

大規模な修繕または
模様替等の増改築
床面積
50㎡以上
等の一定要件あり

大規模な修繕または
模様替等の増改築
非課税枠参照2,500万円 特別控除
税率◆非課税枠超
暦年課税で計算

相続時精算課税と併用
◆非課税枠超
相続時精算課税で計算
※基礎控除は適用外
…基礎控除110万円

2,500万円超
…20%で課税

<相続発生時>
相続財産に加算
納付した贈与税額は
相続税から控除
<控除しきれない>
還付されます
相続発生時
相続財産への加算
非課税のため加算なし贈与時の価額で加算
入居要件贈与を受けた年の
翌年3/15までに居住
または確実の見込み
同左
申告手続き贈与を受けた年の
翌年2/1~3/15に提出
※一定の書類を添付要
同左
POINT

「住宅取得等資金贈与の非課税特例」と「相続時精算課税の住宅取得等資金の特例」とは共通項が多いですが、決定的な違いは「相続時精算課税は贈与者の相続が発生した時に贈与財産を相続財産に加算して相続税の計算をする」のに対して、「非課税特例は相続が発生しても相続財産に加算されることなく、贈与を受けた年において課税関係が完結する」ことです。

ケーススタディ

東京都の世田谷区に住むSさんは、令和2年8月に東京都調布市市内の建売住宅を8,400万円(うち建物の消費税10%で400万円)で購入しました。購入資金は父親から5,000万円の贈与を受けて3,400万円は住宅ローンとしました。住宅取得資金贈与の非課税と相続時精算課税の要件を満たしているとして、両方の特例を適用した場合の贈与税は?

5,000万円-1,000万円=4,000万円 ※1
4,000万円-2,500万円=1,500万円 ※2
1,500万円×20% ※3 =300万円…贈与税額

※1 非課税特例
 …令和2年8月/消費税率10%/一般住宅
※2 ※3 相続時精算課税(参照:税額の計算)

POINT

相続時精算課税の受贈財産である4,000万円は相続発生時に相続財産に加算され、納付した贈与税額300万円は相続税から控除されます。控除しきれない場合は還付されます。銀行ローンについては一定の要件のもとに住宅ローン控除の適用を受けることができます。また、相続時精算課税の適用を受けた親等からの贈与については、贈与税の基礎控除110万円は適用することが出来ません。


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